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コラム

株価大暴落から学ぶこと

【あれから30年】

気温が一気に下がり、いきなり秋本番となりました。北国はもう冬かもしれません。秋を英語でFallとも言うのは葉が落ちる季節だからのようですが、落ちるのは木の葉だけではありません。米国のダウ工業株30種平均(以下、ダウ平均)が22.6%安という史上空前の大暴落を演じたのも、1987年の秋、10月19日のことでした。「暗黒の月曜日」という意味で「ブラックマンデー」と呼ばれています。

あれから30年が経ちますが、忘れることのできない日です。朝起きたら、テレビには508ドル安の表示。「まさか! 50.8ドルの間違いだろう」と最初は思ったものの、終値を見ると前週末とで水準が全然違います。間違いなく暴落でした。「1929年の株価大暴落に端を発したとも言われる世界大恐慌が、またやってくるのではないか」。そんな恐ろしい思いが頭から離れず、大急ぎで会社に向かいました。

10月20日の東京市場も、大混乱の中、大幅安となりました。日経平均株価の終値は前日比14.9%安。当時、私は日本株のファンド・マネージャーをやっており、まあまあの成績をあげていたのですが、帳消しになって大ショックを受けました。

【何が起こったのか】

株価が下落したのは、もちろん「秋だから」ではありません。よく挙げられるのは、米国の貿易赤字の拡大、それを背景にした金融引締観測、あるいはその金融政策を巡る米国と西ドイツ(当時)の対立などです。

確かにそうした経済的な背景はありましたが、たった1日で2割以上の急落となったのには、やはり株式市場の内部に要因があったと見るべきでしょう。おそらく、その最たるものが「ポートフォリオ・インシュアランス」と呼ばれた投資手法です。簡単に言えば、主に株価指数先物を利用することによって、株価が上がるときは追随しつつ、下がる時には売りヘッジをして損を小さくしようとするものでした。株価下落による損失を免れることがうたい文句だったことから、「インシュアランス=保険」という名が付けられたようです。

相場が上がる時には上がるけれど下がる時には下がらないなんて、そんなうまい話しがあるものかと、最初こそ眉唾ものだと疑う投資家が少なくありませんでした。しかし、プロの投資家に次第に広がるにつれ、ライバルとの競争もあるので採用する運用機関が増えていきました。彼らの巨額の運用資金が株価を押し上げるほどにさえなっていったのです。

市場が下がっても自分のおカネは「保険」で守られると思えば、安心感も働いて投資はますます大胆になります。これがいけませんでした。そもそも、コストもかけずリスクを完全に回避できる方法などありません。安心だと思っていた投資家は大混乱に陥りました。まさにパニック状態です。

問題なのは、多くの投資家が同じ手法を使っていたことでした。上がるときは彼らの買いで上がりますが、下がるときは、損失回避の行動に一斉に出た彼らの売りで下がります。かくして先物も現物も一気に、かつ大量に売られることとなり、下げが下げを呼んでついには大暴落に至った、というのが顛末です。

この大暴落からは多くのことを学べると思います。

【教訓1】

うまい話には裏がある、というのは、たいてい本当だ」ということです。そして、「自分だけいい思いをしようとしても、うまくはいかない」ものです。

【教訓2】

大暴落前のダウ平均の高値(終値ベース)は同年8月25日の2,722.42ドルでした。そんなところで買った人は悲惨です。大暴落当日の終値は1,738.74ドルですから、わずか2ヵ月で36%もの損失を被ったことになります。恐怖と絶望のどん底だったに違いありません。

しかし肝心なのはそこではありません。ダウ平均が今はおよそ23,000ドル台だということこそ、私は重要だと思います。この暴落時の安値からは13倍以上、高値からでも8倍以上になったのです。この30年間に支払われた配当金を含めれば、大損どころか大成功だったと言えるでしょう。そうなった理由は、すべて米国株が上がり続けたことにあります。

いつ買っていつ売るかより、どこに投資するかの方がよほど大事だ」というのが、私が考える二つ目の教訓です。

【教訓3】

そうは言っても、どこの市場、どんな企業に投資するか正しく判断することは、不可能ではありませんが簡単でもありません。さしあたりファンドを通じて世界に分散投資するのがよいでしょう。

でも、それでは足りないと思います。というのは、大暴落の際、米国では投資信託(ファンド)の解約売りが殺到したからです。「そんな安値でもったいない」と、後になれば誰でも思うことですが、暴落の最中にあっては恐怖に駆られて売ってしまうのも無理からぬところです。売らずに持ち続けたかどうかは、その後の運用成果を大きく左右しました。

売るか持ち続けるか。それを分けるのは、投資家がそのファンドをどれだけ理解し信じているかに大いにかかっています。単に「儲かりそうだ」という理由だけで買うと、下落時に「損しそうだ」と思って売ってしまいがちです。

ファンドのことを理解し納得し信じていること」は、ですからとても大事です。これが教訓の三つ目です。ユニオン投信がファンドの直接販売をしているのも、お客さまに理解していただく大切な作業を人任せにはできないと考えているからです。
(久保田 徹郎)
  • このコラムは、掲載時点での意見・見通し等であり、将来の運用成果や市場環境等の変動を保証するものではなく、将来予告なしに変更することがあります。
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