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コラム

下がったら買いたくなるファンド

もうずいぶん前ことですが、証券会社の方と話をしていたときのことです。
「久保田さんはどんなファンドを目指していますか?」
そう聞かれて、私は「下がったらお客さまが買いたくなるファンドです」
とお答えしたことがあります。

その方は、怪訝そうな顔をされました。
(“上がるファンド”の間違いではないのか?)
そう思われたようで、話は最後までかみ合いませんでした。
下がったら買いたくなるか、それとも売ってしまいたくなるか。
ここは大きな分かれ目です。
この図は、2008年3月に英国の『エコノミスト』という経済誌に掲載された数字を基に作成したもので、計測期間は1980年から2005年です。インデックスファンドとは、市場の動きとぴったり同じように値段(基準価額)が動くように設計・運用されているファンドのことです。

「ファンド選びが難しい」とか、「全体の株価上昇を享受したい」、中には「へたなファンドマネージャーに任せるよりもいい」(笑)ということで、非常に多くの投資家が保有しています。さて、この間にインデックスファンドの評価額は17倍、増加したのですが、お客さまたちがお持ちのファンドの方は増加がたったの5倍にもなりませんでした。

なぜなのでしょうか。記事によれば、理由は二つあります。
一つは、インデックスファンドよりも手数料が高いファンドの保有が多かったこと。
もう一つは、ファンドの保有者の売買が下手過ぎたことです。「売買が下手」とはどういうことなのか。

要するに、値段が上がってくると買い、下がってくると売ってしまうということです。
高値で買って安値で売れば、いくらファンドが最終的に値上がりしても利益など出ません。

なぜそうなってしまうのでしょう。

この記事には詳しく書いてありませんでしたが、だいたいの察しはつきます。
おそらく、市場やファンドの価格変動に気を取られ過ぎることに原因があるのです。
値段が上がってくると「いいファンドだ」と喜び、下がってくると「なんだこれは」と嘆く。

それにしても困りました。
運用成績をどれだけ上げてもお客さまの財産はなかなか殖えない、
としたら、いったいどうしたらいいのでしょう。

たどり着いたのは以下の考えです。

・投資家が値動きに振り回されるのは、持っているものが何なのかわかっていないため
・ならば、その強みはもちろん、弱みも知ってもらえばいい
・いいものを持っている限り、値段が下がっても不安にはならないはず
・それどころか、同じものが安く買えてありがたいと思ってもらえるはず

記事を読んでから9年になろうとしていますが、結論はずっと同じです。

ユニオン投信の目的は、お客さまの財産作りのお役に立つことです。
ファンドマネージャーが運用成績の向上に最大の力を注ぐのは当然です。
しかし、それだけでは全く十分ではないと、私は思います。
重要なのは、基準価額が下がったときでも、お客さまが不安に駆られて売ってしまうことがないようにすることです。
基準価額が下がると、「うれしい、下がったからまたたくさん買える」と思っていただけるファンドに、ぜひしていきたいです。
それによって、ファンドの成績と同じかそれ以上にお客さまの財産づくりがうまくいくのだと思っています。
(久保田 徹郎)
  • このコラムは、掲載時点での意見・見通し等であり、将来の運用成果や市場環境等の変動を保証するものではなく、将来予告なしに変更することがあります。
  • 金融商品等への投資は、その価格の変動等により損失を生じることがあります。
  • 金融商品等ごとに手数料等およびリスクは異なりますので、当該商品等の契約締結前交付書面、目論見書等をよくお読みいただき、ご自身でご判断ください。
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